税理士受験生がBig4税理士法人に転職するまでのキャリア実録

税務会計

「このまま今の職場で、本当にいいのだろうか…?」
働きながら税理士試験を続ける中で、そんな不安を感じたことはありませんか?

  • 勉強時間が取れない
  • 給与が上がらない
  • 転職したいけど、次の職場が本当に良くなるか分からない

私自身も同じように悩みながら、これまで3度の転職を経験してきました。
新卒で個人事務所に入社し、中規模法人、資産税専門法人を経て、現在はBig4税理士法人で働いています。

この記事では、その過程で何を考え、何を得て、何を失ってきたのかを包み隠さずお伝えします。
キャリアの岐路に立つ税理士受験生・科目合格者の参考になれば幸いです。

新卒で個人の税理士事務所に入社した理由

新卒で私が入社したのは、個人で運営されている税理士事務所でした。

税理士試験の勉強をはじめた当時、大学2年生だった私は、
「大学在学中に官報合格を目指す」という、今思えばかなり無謀な目標を掲げており、
しかも本気で合格できると思っていたため、
一般的な就職活動はまったくしていませんでした

大学3年生のときは受験せず、大学4年生では簿記論・財務諸表論・消費税法を受験。
結果はすべて不合格で、卒業間近に合格科目はゼロという状況に追い込まれました

「本当に税理士を目指し続けるべきなのか…」
そんな迷いを抱えながら就職活動を始め、出会ったのがこの個人事務所です。
「税理士受験生」というだけで、面接中にその場で内定が出る――そんなスピード感でした。

フリーターとして受験生を続ける道も考えましたが、
「まず実務を経験して、税理士としてやっていけるのか確かめてみよう」
そう思えたことが、入社を決めた一番の理由です。

実際に働くと、記帳代行・決算業務・顧問先対応まで一通り任せてもらえました。
また所長の方針で「官報合格者しか採用しない」事務所だったため、受験生への理解が深く、勉強と両立しやすい環境でした。

  • 閑散期:残業ゼロ
  • 繁忙期:平日2時間程度
  • 土日出勤:月1回あるかどうか

ただし、労働時間が少ない分、年収は300万〜330万円程度と低め。
さらに紙ベースの業務が中心で、非効率さも強く感じました。

入社から約1年後、所長の高齢を理由に事務所閉鎖が決まり、転職を余儀なくされます。

この出来事は、その後の人生において「転職」という選択肢を常に意識するようになった大きなきっかけになっています。

✅よかったこと

  • 記帳・決算・顧客対応など、実務の土台が築けた
  • 仕事と勉強を両立できる職場環境の重要性に気づけた
  • 「転職」への意識が芽生えた

❌ 想定と違ったこと

  • アナログで効率の悪い業務環境
  • 入社して2年経たずに事務所が閉鎖
  • 年収300万円~300万円は生活面で不安

中規模税理士法人へ転職した理由

個人事務所での経験を通じて、
「税理士の仕事自体は嫌いではない」
という確信を持つことができていました。

もう少し組織的な環境で実務を積みたいという思いが強くなり、
中規模の税理士法人へ応募することにしました。

転職自体が初めての経験だったため、
特に深く考えず、検索して出てきた転職エージェントに登録し
転職活動を始めることになります。
このときは、まさかこのエージェントに
その後の転職活動で何度もお世話になるとは思っていませんでした。

当時は合格科目がゼロの状態でしたが、

  • 税理士試験を続ける予定だったこと
  • 多少なりとも実務経験があったこと
  • 年齢が若かったこと

から、採用してもらえることになりました。

年収については、
現状の330万円を基本給とし、
そこに残業代とインセンティブが加算される形でした。

決して高い水準ではありませんでしたが、
当時は「まずは実務経験を積みながら、税理士試験を続ける」
というフェーズだったため、
年収よりも働き方や経験を重視していました。

実際に働いてみると、
業務フローはしっかり整備されており、
個人事務所と比べると仕事の進め方はかなり効率的でした。
また、税理士受験生が複数在籍しており、
試験勉強に対しても比較的理解のある法人だった点は、
受験生として非常にありがたかったです。

この法人で働いていた時期に、
勉強のやり方を大きく見直し、
簿記論と所得税法に合格することができました。
実務と試験勉強の両立は簡単ではありませんでしたが、
働きながら科目合格を積み上げられたことは、
その後のキャリアにおいて大きな意味を持つ経験になりました。

一方で、働く中で少しずつ違和感を覚えるようになった点もありました。
代表は若く行動力のある人物でしたが、
いわゆるワンマン経営に近い部分があり
方針や指示が頻繁に変わることも少なくありませんでした。

また、人事や総務、部署の管理といった
税務以外の業務を任される場面も多く、
「自分は何をやりたいのか」
「どのような専門家になるべきなのか」
分からなくなる感覚を抱くようになりました。
代表の考えがころころ変わることもあり、
月に1人以上のペースで退職者が出る状況だったことも、
精神的な負担になっていました。

この経験を通じて、
転職すればすべてが良くなるわけではない
という現実を学んだと思います。

そんな中で、再び相続税法の勉強を始めたことが転機となりました
この法人では相続税の申告業務に携わることができず、
試験勉強で身についた知識を
実務で活かせる場がないことに、もどかしさを感じるようになりました。

✅ よかったこと

  • 組織的に働くこと、仕組みで回す仕事への理解が深まった
  • 法人に係る幅広い業務経験を積むことができた
  • 仕事と勉強を両立できる環境で、簿記論・所得税法に合格できた

❌ 想定と違ったこと

  • 税務以外の業務を多く任され、専門性が見えにくくなった
  • ワンマン経営による方針変更に振り回された
  • 離職率が高く、職場の安定性に不安を感じた

資産税専門の税理士法人を選んだ理由

資産税専門の税理士法人へ転職した一番の理由は、
相続税法の勉強を再開したことで、
「相続税を学ぶのであれば、実務でもしっかり経験したい」
と考えるようになったからです。

そこで、初めての転職時に登録した転職エージェントに改めて相談し、
「相続税の実務に実際に携われる環境」を条件に求人を探してもらいました。
相続税分野は、求人票だけでは業務の比率や実務の濃さが分かりにくく
“相続に携われる”と書かれていても、実際は補助的な関与にとどまるケースも少なくありません。
その点を事前に確認できたことが、資産税専門の税理士法人を選ぶ決め手になりました。

転職時点では、簿記論・所得税法の科目合格者で、
財務諸表論・消費税法・相続税法の3科目受験を予定している状況でした。
年収は前職から大きく変わらない想定でしたが、
オーナー企業を中心とした法人税務の経験に加え、
今後は相続税分野にも注力していきたいという姿勢を評価していただき、
法人顧問と個人の税務の両面に対応できる人材として、年収500万円で採用してもらえることになりました。

実際の業務では、相続税申告を中心に、
贈与税や譲渡所得申告、資産管理会社の設立など、
いわゆる資産税分野の実務に幅広く携わることができました。
特に財産評価については、
税理士試験のテキストには載っていない資料収集や判断を含む実務を数多く経験できたことが、
非常に大きな収穫でした。

また、毎年成長を続けている大手の税理士法人でありながら、
税理士試験に対する理解がある点も、この法人の大きな特徴でした。
受験生であることを前提とした業務配分やスケジュール調整が行われており、
試験直前期には勉強時間を確保しやすい環境が整っていました。

そのような環境の中で、
この法人で働いていた時期に財務諸表論と相続税法に合格し、
4科目合格まで進むことができました。
実務と試験勉強の方向性が一致していたことで、
学習効率が大きく上がったと感じています。

さらに、科目合格者でありながら年収は700万円まで上がり、
専門性を身につけることで評価や待遇にきちんと反映されるという実感を得られました。
「専門性はキャリアの武器になる」
そうはっきり感じられたのが、この時期でした。

一方で、この頃から、
会計業界の中でいわゆる「Big4」と呼ばれる存在に対して、
漠然とした憧れを持つようになっていました。
業界最大手としての規模感や、
より大きな案件に携われる環境に対する興味は、
心のどこかに常にありました。
規模の大きさや案件の幅に魅力を感じる一方で、
ハードワークな環境の中で試験勉強と両立できるのか、
不安があったのも正直なところです。

何はともあれ、資産税専門の税理士法人で
専門性・実務経験・科目合格を積み上げたことは、大きな自信となりました。

✅ よかったこと

  • 相続税の実務に継続的に関われた
  • 試験勉強と実務の方向性が一致した(財務諸表論・相続税法の科目合格)
  • 科目合格者でも年収700万円前後まで上がり、キャリアの手応えを得られた。

❌ 想定と違ったこと

  • 相続は“案件の波”があり、「繫忙期」が読みにくい
  • 専門特化ゆえに、他の税目にまたがる税務については経験を積みにくい
  • 関与しない税目は、意識して触れないと知識が薄れていく

Big4税理士法人へ転職した理由

Big4は、規模の大きさや案件の幅、専門性の高さといった点で、
会計業界の中でも別格の存在です。
その環境で自分がどこまで通用するのか、一度挑戦してみたいという思いが、
少しずつ強くなっていきました。

正直、不安の方が大きかったので、
私は転職エージェントに再度登録して相談するところから始めました。

Big4は「ブランド」だけで選ぶと危険で、
配属や働き方、繁忙期の負荷、受験生への配慮などは、
求人票だけでは分からないことが多いからです。
エージェント経由で“実態”を確認し、
自分の経験・科目状況で狙えるポジションや評価ポイントを整理できたことで、
挑戦する判断が現実的になりました。

そんな中で迎えたのが、
税理士試験の消費税法・法人税法の試験でした。
これまで積み重ねてきた実務経験と学習の成果もあり、
特に消費税法については、試験後にはっきりとした手応えを感じることができました。

このとき、
「税理士試験をもうやらなくていい」
と確信すると同時に、
チャレンジするならいつだって今が一番若い」と考えるようになりました。

この先年齢を重ねてから後悔するよりも、
今のタイミングで一度挑戦してみよう。
そう思い、試験直後ではありましたが、
Big4税理士法人への転職を決意しました。

転職エージェントからは、
これまでの実務経験や科目合格の状況を踏まえると、
「書類選考は問題なく通過するので、あとは面接次第」
という現実的なアドバイスを受けました。

実際の選考では、
これまでのキャリアや、受験生として働きながら
科目合格を積み上げてきた過程を丁寧に評価していただき、
無事に内定を得ることができました。

そして、Big4税理士法人への入社を控えたタイミングで、
税理士試験に官報合格することになります

振り返ると、これまでの転職や遠回りも無駄ではなかったと感じています。

転職を通じて分かったこと|税理士受験生・科目合格者へ

転職を何度か経験する中で強く感じたのは、
税理士業界において転職は決して特別なことではなく、
自分のキャリアや価値観と向き合うための有効な手段だということです。

特に税理士受験生にとっては、
仕事と勉強をどう両立させるかが、その後のキャリアに大きく影響します。

私自身、受験生として働きながら勉強を続ける中で、
「どの事務所で働くか」によって、
勉強時間の確保しやすさや精神的な余裕が
想像以上に変わることを実感しました。

通勤時間、残業の有無、試験直前の配慮。
一見すると些細に思える要素ですが、
こうした積み重ねが、結果として合否を左右することもあります。

また、転職を通じて分かったのは、
事務所の規模やネームバリュー以上に、
どんな実務を経験できるかが重要だということでした。
自分が目指す方向性と日々の実務が一致しているかどうかは、
後になって大きな差となって表れます。

特に将来、独立を考えている方は、
仕事内容をより慎重に見ておく必要があります。
法人顧問には慣れていても相続や事業承継の経験がほとんどない、
あるいはその逆、というケースも決して珍しくありません。
独立後に対応できる業務の幅が限られると、
結果として選択肢も狭くなってしまいます。

受験生のうちは、
どうしても「勉強に集中できるかどうか」を最優先に考えがちです。
それ自体は間違いではありませんが、同時に
「この職場で、どんな実務が身につくのか」
という視点も持っておくことが大切だと思います。

勉強だけ、あるいは実務だけに偏りすぎると、
後になって軌道修正が必要になることもあります。

転職は、単に今の不満から逃げるためのものではありません。
自分の強みや弱みを整理し、
将来どんな税理士になりたいのかを考えるきっかけになります。

最後に|行動するかどうかは、今決めなくていい

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

この記事を通じてお伝えしたかったのは、
「必ず転職したほうがいい」という話ではありません。

ただ、
・今の環境が自分の将来につながっているのか
・試験と実務のバランスは本当に取れているのか
・他にどんな選択肢があるのか

一度立ち止まって考える価値はある、ということです。

私自身も、転職を決断する前に
税理士業界に特化した転職エージェントに相談したことで、
自分の市場価値や、他の選択肢を冷静に知ることができました。

転職するかどうかを決めるのは、その後で構いません。
まずは「知ること」から始めるだけでも、
気持ちはかなり楽になるはずです。

もし今、
「このままでいいのか」と少しでも感じているのであれば、
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