*この記事はプロモーションを含みます。
たまに受験生から税法科目の合格の秘訣を聞かれることがありますが、必ずこう答えています。
理論暗記から逃げないこと
「理論を制するものは税理士試験を制する」という言葉があるように、税法科目の合否を分けるものは、計算ではなく理論です。
ここでは、国税4科目(所得税・法人税・相続税・消費税)に合格した税理士が、予備校ではなかなか教えてもらえない理論暗記の方法について、実体験を踏まえてご紹介します。
上記のような悩みを持つ受験生は、最後まで読む価値のある内容となっています。
なお、この記事は税理士試験の税法受験生向けになりますが、財表受験生やその他の資格試験で暗記に苦労されている方も参考にしてください。
絶対に覚えられる方法
最後まで読んだら、騙されたと思って、一度やってみてくださいね。
アクティブリコール
絶対に覚えられる方法とは・・・”理論集を見ずに思い出す”ことです。
理論集を見なければ覚えられないじゃないか!と思われるかもしれませんが、
これは「アクティブリコール(Active recall)」と言われる科学的にも効果が証明されている方法になりますので、まずは話を聞いてください。
私自身、受験生時代に様々な方法を試しました。
最終的に、思い出して覚える方法が1番記憶に残りやすいという結論になり、このやり方を実践してから合格できるようになりました。
理論暗記でこの方法を取り入れたのは5回目の受験からでしたし、アクティブリコールという方法(名称)を知ったのも税理士試験に合格した後でしたので、自力でこのやり方に辿り着けていなかったら、今でも受験生だったでしょう。
逆に言えば、最初からこの方法で理論暗記をしていれば、もう2~3年早く合格できたと思います。
それくらい劇的な方法です。
アクティブリコールをひと言で説明するのであれば、「能動的に思い出す」方法になります。
具体的なアクティブリコールの解説については、こちらの安川先生の本に詳しく記載されています。
「そもそも自分の勉強法、科学的に正しいの?」
合格を目指して毎日勉強を続けている中で、こんな疑問を抱いたことはありませんか?
自分のやり方が間違っているかもしれない、もっと効率の良い方法があるのではないか・・・。
そんな不安や疑問を解消し、「本当に効果がある」勉強法を手に入れるための一冊になります。
マーカーを引いて暗記している受験生、あなたの勉強法、間違っているかもしれません。
具体的な手順
消費税の課税の対象(消費税法4①)の理論で、どのように覚えるのか、具体的に解説します。
国内において事業者が行った資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等を除く。)には、消費税を課する。
この一文を覚えようとする場合には、下記のような流れになります。黄色の部分は心の声です。
①一文を最後まで読んで、読めない(知らない)日本語がないか確認します。
②本を閉じて、何て書いてあったか思い出します
国内において事業者が・・・
ダメだ。これしか思いだせない。
③思い出せなくなっても、少し粘ります
カッコがあったな。
「資産」とか「譲渡」って書いてあった気がする・・・
④開いて確認します
あ、資産の譲渡等か。その後にカッコか。
⑤閉じて思い出します
国内において事業者が行った資産の譲渡等()・・・
括弧の中身なんだっけ?同じような感じだった気がするけど
資産の譲渡等?課税資産の譲渡等?
⑥開いて確認します
「特定資産の譲渡等」か。しかも「除く」なのか。
⑦閉じて思い出します
国内において事業者が行った資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く。)・・・
この流れを、ひたすら続けていくだけです。
ポイントは、思い出せなくても、少しだけ思い出す時間を作ることです。
思い出す時間は、10~20秒程度でしょうか。
すぐに理論集を見てしまうと、アクティブリコールの効果がなくなってしまうのでご注意ください。
芸能人の名前がパッと出てこないときに、あの人の名前なんだったっけー?と思い出そうとするあの感じに似ていると思います。
私は、いちいち理論集を閉じるのが面倒なので、目を閉じて(理論集を見えない状態にして)、「考える人」のようなポーズで思い出していました。
「アクティブリコール=理論のアウトプット」ということですね。
この理論のアウトプットをあまりやらないことが、”計算はできるが理論はできない”受験生が大量発生する原因です。
他の税目の受験生は、下記の理論をアクティブリコールで暗記してみてください。
覚えるまでに1~2週間かかると思いますが、ほぼ完璧に覚えられるはずです。
財務諸表論:継続性の原則
所得税:利子所得、配当所得の源泉徴収
法人税:各事業年度の所得の金額の計算
相続税:納税地
このアクティブリコールが優秀なのは、”何もないところから理論を思い出す”という本試験と全く同じ状況を普段から作れるところです。
教材の持ち込みができない税理士試験において、かなり有効な手段と言えます。
しかも、一度覚えるとしばらくは忘れませんので、理論のメンテナンスもかなり楽になります。
毎日やること
アクティブリコールと同じくらい大切なのが、理論暗記を毎日行うことです。
試験前日まで、1日も休むことなく理論暗記を行うくらいの覚悟がないと、税理士試験に合格するのは難しいです。
とは言え、毎日やるといっても、風邪を引いていたり、子育て・介護・仕事で勉強どころではない時もあるので、”勉強できる状況であれば毎日やる”といった感じです。
5分や10分しかできない日があっても大丈夫ですので、とにかく毎日続けてください。
オススメは、寝る前に理論暗記を行い、スマホで理論集の写真を撮っておいて、次の日の通勤時間に前日覚えた理論を思い出すことです。
私は、「電車が駅に到着した時しかスマホを見られない」という制約を課して、アクティブリコールを行っていました。
電車が動いている時はひたすら思い出すだけですが、かなり効果がありました。
通勤ラッシュの時間でも、スマホの画面は見られると思いますので、行き帰りの電車やバスに乗っている時間を理論暗記の時間にあててみてください。
これを毎日やるだけで、かなりの量の理論をストックできるようになります。
慣れてきたら、1つの理論を覚えるのにどのくらいの時間がかかったか、大体で良いので把握しておきましょう。
アクティブリコールのやり方が確立していれば、どのくらいの量の理論を、いつまでに覚える必要があるかを逆算してスケジュールを立てることができるので、直前期の焦りを減らすことができます。
所感ですが、新しい論点が定着するまでに、理論は計算の5倍くらい時間がかかると思います。
理論は何周するのか?
ここではあえて、1題覚えるまでの暗記を「回」、覚えた後のまわす作業を「周」と定義して、実体験をもとに考えてみます。
上記の具体的な手順①~⑦では、3度理論集を見ていますので、これを3回とカウントすると、40~50回で、1題全て覚えられると思います。
その後、いわゆる理論をまわす(理論集を見ずに1題全てを思い出せるように反復練習する)のが、本試験までに20~30周になります。
あくまで目安なので、Aランク理論であれば40周、Bランク理論であれば15周というようなメリハリをつけることになりますが、最低でも「周」としてカウントできる状況に持っていかないと、本試験では通用しません。
多くの受験生が、「周」までいけず「回」の状態で本試験に臨んでいると思います。(この状態での理論の答案は、いわゆる「作文」になります。)
また、「回」の状態なのに覚えた気になって「周」に移行してしまうミスが多いです。覚えていない理論をどんなにまわしても意味がないです。
30周くらいやると、試験当日に問題を見て、すぐにどの理論を書けばよいか検討がつき、無意識に書き始めることができるレベルになりますので、計算がボーダー付近でも余裕で合格します。
理論マスターと理論サブノートはどちらも確認する
多くの受験生が、TACか大原で勉強していると思いますが、理論マスターと理論サブノートはどちらも購入して見比べて、自分の持っている理論集にない理論は、必ずコピーして貼り付けておきましょう。
というのも、自分が覚えた方には載っていない理論が出題されることがあり、これだけ1年を棒に振る可能性があります。
実際私も下記2回の試験で、自分が覚えた理論集には載っていない理論が出るという状況に遭遇しました。
・平成30年(第68回)の所得税法 理論問2:損益通算
理論マスターには載っていたが、理論サブノートには載っていない
・令和4年(第72回)の消費税法 理論問1(2):価格の表示
理論サブノートには載っていたが、理論マスターには載っていない(理論ドクターには載っていた)
特に所得税の試験は、損益通算の理論はTACではAランクだったため、かなりTAC生に有利な年でした。
この年の所得税の試験は55点で不合格でしたので、損益通算の理論が書けていれば合格していたかもしれません。
ちなみに消費税の「価格の表示」は、皆できなかったため、合否に影響はなかったようです。(47点で不合格でしたが。)
計算でも
計算問題を解く過程で、実は無意識のうちにアクティブリコールをしています。
計算問題を解いていて、こんな状況を経験していないでしょうか
この記憶から引き出そうとする行為が、アクティブリコールです。
つまり、計算では、問題を解くことでアウトプットができ、かつ、自動的にアクティブリコールを行っているため、真面目に問題集を解いている受験生は、自然と計算の点数が取れるようになります。
終わりに
税理士試験で覚える理論は、理論集1ページあたり700文字で換算すると、所得税・法人税:12万字、相続税:9万字、消費税:7万字です。
普通のやり方ではこんなに覚えられません。
理論暗記についてネットで検索してみても、”人による”、”色々な方法がある”など、かえって迷うことばかりしたので、誰にでもオススメできる万能の方法を1つだけご紹介しました。
ちなみに、私が正社員(フルタイム)で働きながら消費税法・法人税法・相続税法の3科目受験をした際には、約150題(消費税:30題、法人税:60題、相続税:60題)覚えることができました。
*消費税と相続税は3回目、法人税は1回目でした。
この記事を読んで実践して、アクティブリコールのコツを掴んでしまえば、理論暗記もかなり楽になります。
理論暗記に苦しんでいる受験生の皆さん、ぜひアクティブリコールを取り入れて1年でも早く合格を勝ち取ってください。