【6科目合格者が教えます】応用理論が怖くなくなる「カテゴリー別暗記法」

税理士試験

苦しい理論暗記の先に待っているのが応用理論と事例理論です。

今回は応用理論について、国税4科目に合格した経験から具体的な対策をシェアしたいと思います。

こちらが私の受験歴です。

応用理論とは

初学の方は、応用理論って何?という感じだと思いますので、簡単にご説明します。

税理士試験の理論の問題には、大きく分けて3つのカテゴリーがあります。

  • ベタ書き理論・・・覚えた理論をそのまま書くだけの問題
  • 応用理論・・・複数の理論を横断的に解答する問題
  • 事例理論・・・具体的な状況が与えられ、該当する理論を解答する問題

ベタ書き理論については、理論暗記の精度が合否に直結しますし、覚える以外の対策がないので、なるべく早く覚えましょう。

他方、応用理論は、複数の論点を引っ張り出す必要があるので、難易度は格段に上がります。

「問題文はなんとなく理解できるけど、何を書けば良いか悩んでいるうちに時間が経過してしまい、結局何も書けなかった。」

というようなことが起きるのが応用理論です。

ちなみに、こんな問題です。

・所得税法
平成26年度(第64回)税理士試験

1 事業所得と雑所得の所得区分について説明をしなさい。
 その上で、それぞれの所得計算において共通する取扱い、異なる取扱いについて対比させる形で述べなさい。
2 事業用固定資産が棚卸資産であるか、あるいは棚卸資産以外の資産であるか、により生じる課税上の異なる取扱いについて述べなさい。

・相続税法
平成30年度(第68回)税理士試験

問1 相続税法において、個人以外の者に相続税を課すこととされている規定について、それらの内容及び計算方法をそれぞれ説明しなさい。

・消費税法
平成30年度(第68回)税理士試験

問1
(1) その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合(その課税期間に係る基準期間がない場合を含む。)であっても、消費税法第9条第1項の規定が適用されずに、課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて納税義務が課される課税期間について簡潔に述べよ。
※ 消費税法第9条第1項の規定が適用されないこととなる各規定において、各規定が一定の法人を対象とする場合の当該法人の定義(該当要件)及び消費税法施行令の内容については触れる必要はない。
 また、相続、合併、分割等があった場合の納税義務の免除の特例についても触れる必要はない。

・法人税
ここ最近出題されていないため割愛します。

この応用理論について、誰でも簡単にできる対策をご紹介します。

具体的な対策

普段の理論暗記から、カテゴリー別に覚えるだけです。

これだけかよ!言われなくても普段からやってるよ!という方は、これ以降見なくて大丈夫です。

予備校では、問題文を読み、その場で柱挙げをして内容を整理してから書き始めるようなことをレクチャーされますが、試験でそれは無理です。

極度の緊張感の中で、初めて見る問題を冷静に分析し、覚えた理論を的確に抜き出して過不足なく解答するのは不可能です。

さらに、応用理論は解答に時間がかかるため、つい時間を使いすぎてしまい、他の問題を解く時間がなくなることがあります。

その結果、試験の途中で不合格を確信することも少なくありません。

予備校では、理論暗記の先に応用理論がある(ベタ書き理論を暗記しないと応用理論に進めない)ような教え方をされることが多いと思いますが、8回も受験した経験から言わせてもらうと、同時にやらないと絶対に間に合いません

私が受験生時代に覚えたカテゴリーを載せておきますので、参考にしてください。所得税・相続税は理論サブノート、法人税・消費税は理論マスターです。

※最新の理論でカテゴリー分けをしていますが、税制改正の影響で理論が追加・削除された場合は適宜調整をお願いします。
※記載がない理論は捨てた理論になります。

所得税

①マイホーム特例と損失関係

  • 居住用財産を譲渡した場合の課税の特例
  • 純損失の繰越控除
  • 雑損失の繰越控除
  • 居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
  • 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
  • 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
  • 転任後の再居住年以後の特例
  • 認定住宅の新築等に係る税額控除

②利子、配当、有価証券関係

  • 利子所得、配当所得の課税関係
  • 有価証券の譲渡による所得の課税関係
  • 特定口座制度及び特定管理口座制度
  • 非課税口座制度
  • ストック・オプション税制
  • エンジェル税制
  • 先物取引に係る所得の課税関係
  • 配当控除
  • 利子所得、配当所得の源泉徴収

③収入、所得、資産関係

  • 保険金、損害賠償金等を取得した場合、支出した場合の取扱い
  • 借地権等の設定に伴い取得した権利金の取扱い
  • 所得金額の計算の通則
  • 収入金額の評価の別段の定め
  • 資産の無償又は低額による移転があった場合
  • 固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例
  • 資産について生じた損失の取扱い
  • 債権が回収不能となった場合の取扱い
  • 貸倒引当金・取得費

④給与、退職、年金関係Ⅰ

  • 年金についての課税関係
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 所得金額調整控除
  • 所得控除(人的控除、物的控除)
  • 医療費控除

⑤給与、退職、年金関係Ⅱ

  • 源泉徴収
  • 給与所得の源泉徴収
  • 年末調整
  • 退職所得の源泉徴収
  • 公的年金等の源泉徴収
  • 法定調書

⑥青色関係

  • 家事関連費等の取扱い
  • 事業を営む居住者と生計を一にする親族が支払を受ける対価
  • 青色申告特別控除
  • 青色申告制度
  • 青色申告者の特典
  • 帳簿書類の備付け等及び添付書類並びに総収入金額報告書の提出

⑦意義関係

  • 非課税所得
  • 各種所得の意義及び金額
  • 収入及び費用の帰属時期の特例
  • 課税標準
  • 申告分離課税
  • 損益通算

⑧申告関係

  • 予定納税制度
  • 確定申告
  • 予定納税額の減額承認申請
  • 死亡又は出国の場合の確定申告
  • 確定申告による納付
  • 延納
  • 還付

⑨納税義務、特殊項目関係

  • 個人の納税義務者と課税所得の範囲等
  • 法人の納税義務者と課税所得の範囲等
  • 納税地
  • 資産に係る控除対象外消費税等の必要経費算入
  • 平均課税制度
  • 外国税額控除

法人税

①原則的な規定関係Ⅰ

  • 納税地
  • 実質課税(所得の帰属)
  • 法人課税信託
  • 各事業年度の所得の金額の計算の通則
  • 収益の額
  • 延払基準
  • 工事進行基準
  • リース取引に係る所得の金額の計算

②原則的な規定関係Ⅱ

  • 受取配当等の益金不算入
  • みなし配当
  • 寄附金
  • 還付金等
  • 貸倒引当金
  • 使途秘匿金
  • 所得税額控除

②同族会社関係

  • 同族会社の意義
  • 役員及び使用人兼務役員の範囲
  • 特定同族会社の特別税率
  • 役員及び使用人兼務役員の範囲
  • 役員給与
  • 使用人給与
  • 譲渡制限付株式を対価とする費用
  • 新株予約権を対価とする費用等

③資産の評価関係

  • 棚卸資産の期末評価方法、選定、変更等
  • 棚卸資産の取得価額
  • 短期売買商品等の譲渡損益
  • 短期売買商品等の期末評価、評価損益等
  • 有価証券の譲渡損益(原則)
  • 有価証券の期末評価、評価損益
  • 有価証券の取得価額
  • デリバティブ取引
  • 減価償却資産等の償却費等の損金算入
  • 減価償却資産の取得価額
  • 繰延資産
  • 資産の評価損益

④国外関係

  • 外国子会社から受ける配当等
  • 外貨建取引の換算
  • 外貨建資産等の期末換算
  • 為替予約差額の配分
  • 国外関連者に係る課税の特例
  • 国外支配株主等に係る課税の特例
  • 対象純支払利子等に係る課税の特例
  • 外国関係会社に係る課税の特例
  • 外国税額控除

⑤圧縮記帳関係

  • 国庫補助金等の圧縮記帳
  • 国庫補助金等の特別勘定等
  • 保険差益の圧縮記帳
  • 保険差益の特別勘定等
  • 交換の圧縮記帳
  • 特定資産の買換えの圧縮記帳
  • 特定資産の買換えの特別勘定等
  • 収用等の圧縮記帳等
  • 収用等の特別勘定等

⑥申告、欠損関係

  • 税額の計算
  • 各事業年度の所得課税(確定申告等)
  • 各事業年度の所得課税(期限の延長)
  • 青色申告
  • 青色欠損金及び災害損失金額の繰越控除
  • 債務免除等があった場合の欠損金
  • 欠損金の繰戻し還付
  • 欠損等法人

⑦組織再編関係

  • 有価証券の譲渡損益(特例)
  • 更正及び決定(※組織再編成に係る行為計算の否認のみ)
  • 移転資産等の譲渡損益等
  • 適格合併
  • 適格現物分配(残余財産の分配等以外)
  • 適格現物分配(残余財産の分配等)
  • 資産等に係る調整勘定の損金算入等
  • 組織再編成に伴う欠損金の引継ぎ等

⑧グループ法人税制・グループ通算制度関係

  • 受贈益・寄附金
  • 譲渡損益調整資産
  • その他のグループ法人税制関連規定
  • 損益通算及び欠損金の通算のための承認
  • 事業年度の特例
  • 資産の時価評価損益等
  • 損益通算
  • 欠損金の通算
  • 税率その他の規定

相続税

①納税義務関係

  • 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲・課税価格
  • 贈与税の納税義務者及び課税財産の範囲・課税価格
  • 所得税法に規定する国外転出時課税等があった場合の相続税の関連規定
  • 所得税法に規定する国外転出時課税等があった場合の贈与税の関連規定
  • 相続税の債務控除
  • 未成年者控除及び障害者控除
  • 相続税法の納税地
  • 連帯納付

②非課税関係

  • 相続税の非課税財産
  • 国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税
  • 贈与税の非課税財産
  • 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
  • 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税
  • 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税
  • 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例

③みなし取得財産関係

  • 相続又は遺贈により取得したものとみなす場合
  • 贈与税の生命保険金等・定期金の課税関係
  • 自然人以外のものが納税義務を負う場合等
  • 低額譲受・債権免除等・その他の利益の享受
  • 信託に関する権利
  • 受益者等が存しない信託等の特例

④課税価格の特例、精算課税関係

  • 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
  • 特例対象宅地等の用語の意義
  • 特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例
  • 山林の相続税の納税猶予及び免除
  • 相続税法に定める財産評価
  • 未分割遺産に対する相続税の取扱い
  • 相続時精算課税制度
  • 相続時精算課税に係る相続税の納付義務の承継等
  • 相続時精算課税適用者の特例(孫)

⑤税額計算、配偶者関係

  • 相続税の総額、遺産に係る基礎控除、法定相続人の数及び各相続人等の算出相続税額
  • 相続税額の加算の制度
  • 相続開始前7年以内に被相続人から贈与があった場合
  • 配偶者の相続税額の軽減
  • 相次相続控除
  • 外国税額控除
  • 贈与税の配偶者控除
  • 配偶者居住権等の評価

⑥申告関係

  • 相続税の期限内申告
  • 贈与税の期限内申告
  • 期限後申告
  • 修正申告
  • 更正の請求
  • 国税通則法に規定する期限後申告、修正申告及び更正の請求
  • 還付を受けるための申告及び還付
  • 相続財産法人に係る相続財産の分与があった場合の申告等

⑦延納、物納、納税猶予関係Ⅰ

  • 延納
  • 物納の要件等
  • 農地等の贈与税の納税猶予及び免除
  • 農地等の相続税の納税義務及び免除
  • 個人の事業用資産の贈与税の納税猶予及び免除
  • 個人の事業用資産の相続税の納税猶予及び免除
  • 相続時精算課税適用者の特例(特例事業受贈者)

⑧納税猶予関係Ⅱ

  • 非上場株式等の贈与税の納税猶予及び免除
  • 非上場株式等の相続税の納税猶予及び免除
  • 非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の課税の特例並びに相続税の納税猶予及び免除
  • 非上場株式等の贈与税の納税猶予及び免除の特例
  • 非上場株式等の相続税の納税猶予及び免除の特例
  • 非上場株式等の特例贈与者が死亡した場合の相続税の課税の特例並びに相続税の納税猶予及び免除の特例
  • 相続時精算課税適用者の特例(特例経営承継受贈者)

消費税

①課税の対象関係

  • 課税の対象
  • 国内取引の判定
  • 非課税
  • 輸出免税等
  • 輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税
  • 課税期間
  • 納税地
  • 課税標準及び税率
  • 定義
  • 軽減税率制度

②納税義務の免除の特例関係

  • 小規模事業者に係る納税義務
  • 前年等の課税売上高による納税義務の免除の特例
  • 相続があった場合の納税義務の免除の特例
  • 合併があった場合の納税義務の免除の特例
  • 会社分割があった場合の納税義務の免除の特例
  • 新設法人の納税義務の免除の特例
  • 特定新規設立法人の納税義務の免除の特例
  • 高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例
  • 小規模事業者の納税義務の免除が適用されなくなった場合の届出

③税額控除関係Ⅰ

  • 仕入れに係る消費税額の控除(原則課税)
  • 帳簿等の意義
  • 課税売上割合
  • 非課税資産の輸出等
  • 仕入れに係る対価の返還等
  • 課税貨物に係る消費税額の還付
  • 売上に係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除
  • 特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除
  • 貸倒れに係る消費税額の控除等

④税額控除関係Ⅱ

  • 課税売上割合が著しく変動した場合の消費税額の調整
  • 調整対象固定資産を転用した場合の消費税額の調整
  • 居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の消費税額の調整
  • 棚卸資産に係る消費税額の調整
  • 中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例(簡易課税制度)
  • 簡易課税の適用がない分割等に係る課税期間
  • 災害等があった場合の中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例(簡易課税制度)の届出

⑤申告、その他の特例関係

  • 中間申告
  • 確定申告
  • 還付を受けるための申告
  • 実質判定等
  • リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
  • 工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例
  • 国、地方公共団体等に対する特例
  • 仕入れに係る消費税額に関する国、地方公共団体等に対する特例

応用理論対策の本質

最近は応用理論の出題が少ないですが、もし出題された場合は、当たり前ですが他の受験生より書けないといけません。

応用理論は、「論点に気付く」、「論点の拾い漏れを防ぐ」ことが大切です。

10周くらいすると、カテゴリー別に覚えた理論が計算問題を解いている時にふと頭の中に出てくるようになりますので、相乗効果も期待できます。

ただし、冒頭でもお伝えした通り、応用理論は難易度が高いです。

応用理論対策の本質は、出題されても怖くなくなる(=分かる部分はしっかり書き、分からない部分は捨てて問題ないという自信を持てる)ように理論を暗記しておくことです。

日頃からカテゴリー別に覚えておけば、理論の横の繋がりが嫌でも身につきますし、何よりベタ書き理論対策も兼ねることができます。

1カテゴリーを1時間前後でまわせるようになれば(何も見ずに思い出すことができるようになれば)、理論は圧倒的に差をつけることができますので、最終目標にしてみてください。
※ベタ書き理論の記事でも記載しましが、全部覚えていない理論もたくさんありますので。

ちなみに私自身、1カテゴリーを1時間前後でまわせるようになった科目は全て合格しています。

誰にでもできる方法だと思いますので、取り入れてみてはいかがでしょうか。

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