平成28年(第66回)税理士試験の合格発表から、平成29年(第67回)税理士試験までの記録です。
平成29年(2017年)1月:就職活動開始
税理士試験に専念するか迷いましたが、就職活動を始めることにしました。簿記2級も受かっていたので。
どこにも雇ってもらえなければ、フリーターとして受験生を続ればよい、そんな気楽な感じの方が良いと思ったからです。
また、1日の勉強時間は、どんなに頑張っても8時間が限界でしたので、受験に専念しても、毎日勉強を続ける自信がありませんでした。
とはいえ、すでに大手企業の新卒採用はほとんど終了しており、選択肢は限られていました。
面接経験もないので、試しに近所の税理士事務所に応募してみることにしました。
履歴書には、簿記2級合格と税理士試験の受験歴を記載しています。
すぐに日程調整の連絡があり、数日後に所長との面接になりました。
50代くらいの優しそうな所長さんと15分程度のお話。職歴がないため、大学生活の話が中心でした。
面接もそろそろ終わりかな~と思っていたところ、驚きの質問が飛んできました。
「いつから働けますか?」
・・・ん?聞き間違い?
キョトンとしていると、再度
「いつからうちで働ける?」
面接の練習と思って受けてみた税理士事務所から、その場で内定が出ました。
予期せぬ出来事に、咄嗟にこう答えてしまいました。
「え、じゃあ来月からで」
平成29年(2017年)2月:税理士事務所でバイト開始
突然の出来事でしたが、大学卒業まではフルタイムでアルバイトをすることになりました。
事務所は、9名(所長含め税理士3名、パート6名)の小さな事務所でしたが、皆さんとても優しく教えてくれました。
後から知りましたが、所長の方針で、税理士は5科目合格者しか雇わない、という少し変わった事務所でした。
所長を含む3名の税理士は、全員が社会人になってから大原に通い、税理士試験に合格した方々でした。皆さんから、税理士試験について話を聞いたところ、
- 5年から10年かかる
- 複数科目は難しい
- 休みは基本勉強
- 残業が少ないところで働かないときつい
というアドバイスをいただきました。
実際に税理士試験に受かった人の話を聞いてみて、改めて税理士試験を甘く見ていたことが分かりました。
まだ受験するか決めていませんでしたが、せっかく税理士事務所に入ったので、気持ちを新たに勉強を始めることにしました。
当初は簿記論・財務諸表論・消費税法の3科目にリベンジしようと考えていましたが、
- 同じことの勉強に飽きていて、勉強を続けられる自信がなかった(簿財から逃げたかった)
- 初めての仕事が相続税の申告業務で、相続税に興味を持ってしまった
- 大原の授業も受けてみたくなった
ということで、勢いで大原の初学者短期合格コース(相続税法)に申し込んでしまいました。
年末年始のバイト代が一瞬にして消えますが、仕方ありません。
平成29年(2017年)3月:1科目に絞る
せっかく、簿財消の3科目にリベンジできるチャンスでしたが、今回は相続税だけ受けることにしました。
これまではTACの講義しか受けたことがないので、大原の講義が楽しみです。
通信講座なので、パソコンで講義を視聴する日々が続きます。
大原の講師は、ヘッドセットを身に付けていて、両手が空いた状態で話しているのが特徴的でした。
(TACの講師はマイクを手で持って話していました。)
また、テキストを黒板にプロジェクターで投影するのも斬新でした。
講義全体を通して、高校の授業のような、明るい・元気な印象を受けたので、専門学校である大原学園の雰囲気が、社会人講座にも影響しているのかもしれません。
相続税の勉強をして驚いたのが、会計の知識がほとんどいらないこと。
計算は、土地が図形なので、少し数学チックだな、という印象です。そこまで難易度は高くないですが、財産評価がバラエティーに富んでいるため、見落しが多発します(奥行長大は分かっても、間口狭小を忘れる等)。
理論はさらに難しく、消費税法と比較しても、一文が長く、括弧が多い。
全く覚えられる気がしません。
仕事は、繫忙期のため、個人の確定申告を中心にせっせと働いていました。
平成29年(2017年)4月:正社員になる
とうとう、社会人デビューです。
今まではバイトで吞気に働いていましたが、正社員となると、責任感が増します。
とはいえ、2か月程度アルバイトで働いただけでは戦力になることはできませんので、相変わらず指示された業務をこなすだけですが。
土地の評価に慣れてきたところで、次は取引相場のない株式(非上場株)の評価に苦戦します。
評価方法の判定と、非上場株の計算パターンをなかなか覚えることができませんでした。
平成29年(2017年)5月:GWはほぼ勉強
非上場株の評価が、何度やっても途中で計算パターンを忘れてしまい、最後までたどり着けません。
また、財産評価ばかりやっていたため、税額計算のやり方や税額控除の対象者・計算式が抜けてしまい、やる気を失っていきます。
得意なのは、みなし相続財産・債務・葬式費用。基本的に転記するだけですからね。
改正が入った影響で、類似業種比準方式の計算式が変わりましたが、計算式自体は簡単に(分子の利益×3の「×3」がなくなり、分母が5→3に)なったので、特に問題はありませんでした。
理論は、納税義務者(相続税・贈与税)と納税地の計3つは書いて覚えましたが、他は講義の解説を聞いただけ。
合格者は本当に理論を覚えているのか? そもそも人間はこんな大量の文章を覚えられるのか?
そんなことを考えているうちに、あっという間に時間が過ぎていました。
平成29年(2017年)6月:理論はAランクのみ
本試験まであと2か月。
計算は、答練を中心に取り組み、簡単な問題は解けるレベルに。答練は、いつも後半でついていけなくなるので、段々と嫌になります。
理論は、あまりにも文章量が多く、Aランクを覚えるので精一杯でした。
残業は比較的少ない事務所でしたが、それでも、6月は祝日がなく、仕事終わりの平日に机に向かうのは、なかなか大変でした。
平成29年(2017年)7月:ラストスパート
昨年もそうでしたが、ラスト1か月はかなり辛いです。月130時間くらい勉強するので、仕事以外はすべて勉強している生活になります。
理論は、結局Aランクのうちの15題しか覚えられず、ここから出題されることを祈るしかありません。
平成29年(2017年)8月9日:第67回税理士試験
相続税の試験は、11時からなので、少し余裕を持って向かうことができます。
昨年の経験から、20分前に席に着いていれば問題なさそうでしたので、ゆっくり行くことにしました。
一応、理論サブノートだけは持って、行きの電車の中で読んでいました。
席に着いて周りを見回すと、この教室で私が最年少だと断言できるくらい、受験生の年齢層が高いことにびっくり。
簿財の受験生とは明らかに違う雰囲気でした。
15分前に、試験監督からのアナウンスがあり、答案用紙と試験問題が配られました。
相続税法
「始めてください」の合図とともに、ページをめくります。
めくった瞬間、机の下でガッツポーズ。理論で出題された延納・物納と非上場株式の納税猶予は、どちらも覚えた15題に入っています。
これはいけるのでは!?
でも、贈与者と経営承継受贈者の要件は、理論サブノートにはなかったような。
計算問題を見ることもなく、理論を書き始めようとしますが、手が止まります。
...あれ?最初の単語なんだっけ?
覚えたはずなのに、延納の理論の最初の単語が思い出せません。
試験本番で記憶が飛びました。
周りからは、書き始めている音が聞こえてきて、余計に焦りますが、全く出てこない。
数分考えましたが、出てこないため、先に納税猶予の理論を解答することに。
贈与者と経営承継受贈者の要件は白紙になりましたが、納税猶予となる株式数は解答できました。
贈与税額の計算は、納税猶予の計算を理解していなかったため、こちらも白紙。
...え、ヤバいじゃん。
どうしても延納の理論が思い出せないため、計算にいきます。
頭から順番に解いていきますが、特に詰まることなく、ペンが進みます。
もしかして、計算は簡単かも?
非上場株の評価は改正前の計算式でやるよう指示がありました。なんでやねん。
税額計算まで書ききったところで、残り25分。
...あ、『税務署長』か
急に思い出したので理論に戻り、物納順位の途中まで書いてタイムアップ。
昨年の財表と同じくらいの手ごたえでした。