年末年始から、平成28年(第66回)税理士試験までの記録です。
平成28年(2016年)2月:計算の壁にぶつかる
年末年始はバイトに追われ、1月は大学のテスト。
「勉強に集中できるはずの冬」なのに、結局あまり積み上げられませんでした。
ただ、大学の単位はこのテストさえ落とさなければ、卒業まで残り7単位。
4年生になれば大学に行く必要もほとんどなくなる見込みだったので、ここだけは手を抜かずにテスト勉強に寄せました。
テストが終わり、2月。
簿記論の総合問題と、財表の計算問題を解いてみると――
簡単な問題なら6割くらい取れる。
でも、少しひねられた途端に手が止まる。
複雑な問題、受験生が苦手とする論点になると、頭が真っ白になる。
そして順調だったはずの消費税も、年明けから始まった上級コースの演習に入った瞬間、難易度が跳ね上がりました。
点数は伸びない。だけど、昨年よりは分かる。少しずつ解ける実感がある。
それだけが、救いでした。
平成28年(2016年)4月:理論が覚えられない
3科目の計算に意識を持っていかれた結果、理論に手が回らないまま4月を迎えてしまいました。
財表も消費税も、理論はほぼ手つかず。
この頃、はっきり悟ったことがあります。
財表の理論が覚えられないようでは、税法の理論は一生覚えることができません。
財表は、論点ごとの重要キーワードを中心に「数行」を押さえていく感覚。
一方、消費税は、ページ単位でまとまって襲ってくる。
同じ“理論”でも、要求される体力がまるで違いました。
書く。声に出す。パソコンで打つ。
いろんな方法を試しました。
でも、数日経つとほぼ抜け落ちている。
覚えたはずなのに、答案にする段階で言葉が出てこない。
試行錯誤を続ける中で、なぜか財表の「継続性の原則」だけは、あらゆる手段で繰り返し触れたせいで、異様に記憶に残るようになります。
平成28年(2016年)6月:簿財すら危うい?
5月に3科目(簿記論・財務諸表論・消費税法)の申し込みを終え、残り2か月。
ここで一度、現状を冷静に整理しました。
- 簿記論:個別問題は苦手論点が出るとアウト。総合問題は6〜7割程度
- 財表:理論は全然足りないが、計算は安定して7割前後
- 消費税:理論は手つかず。計算も原則課税で5割程度。簡易課税はやり方覚えていない(国等の特例など論外)
この時点で、3科目合格はほぼ不可能。
「全部やる」では、全部落とす。
私はここで、切り替えます。
簿財中心へ。
まずは簿記論の苦手論点を潰し、財表は理論をなんとか形にしないと勝負にならない。
簿記論の苦手論点は、並べるだけで胃が痛くなります。
特殊商品売買/工事会計/ヘッジ会計/圧縮記帳/資産除去債務/税効果/新株予約権/本支店会計/連結財務諸表/退職給付/減損/キャッシュフロー計算書
……今まで何をやってきたんだろう。
自分で書き出しておきながら、虚しくなりました。
財表の理論は、「書くのが一番記憶に残る気がする」という雑な仮説を信じて、ひたすら紙に書きなぐる。
消費税は――この年はもう間に合わない。来年に回す。
そう決めました。
平成28年(2016年)7月:残り1か月
本試験(8月9日)まで、残りわずか。
「ラスト1か月の追い込みが合否を分ける」
よく聞く言葉ですが、この時期はそれを毎日体で理解するような感覚でした。
一日一日の重みが違う。
- 簿記論は、総合問題を解きながら苦手論点を反復
- 財表は、理論をひたすら書きなぐり、Aランクだけはなんとか頭に入れる
- 計算は、本試験で7〜8割を狙うため週2題は解く
消費税は捨てている。
……だからこそ、簿財の2科目だけは、絶対に落とせない。
そんな気持ちで、目の前の一問をこなしていました。
平成28年(2016年)8月9日:第66回税理士試験
普段朝型の生活をしていないため、少し寝不足になりながら、試験会場へ。
会場の下見はしていませんでしたが、迷うことはありません。
駅から会場まで、同じ顔をした受験生が大量に歩いている。
そして道中には、資格学校が資料配りで待ち構えている。
「ここが戦場か」
そんな空気だけで、背中が固くなりました。
1日中試験のため、途中のコンビニでおにぎりとお茶を購入。
会場には、8時20分頃に到着し、受験案内をもらって、自分の座席に着いたのが8時30分頃でした。
思ったより机の奥行が狭いため、普段自分が問題を解いているのと同じようなやり方はできなさそうでした。
周りの受験生は、テキストや問題集を見ていましたが、私は財表の理論テキストしか持ってきていなかったので、何もできずにただ待つだけ。
着席時刻になり、試験監督の説明が始まります。
注意事項の説明中はテキストを読んでいても問題ない――ということに、地味に驚きました。
初めての受験だったため、先に答案用紙に受験地と受験番号を記入することを知らず、戸惑います。
記入しながら、答案用紙に何が記載されているか見ることができました。
総記法、3分法、売上原価対立法、リース、ソフトウェア・・・
総記法なんて全く覚えていないのに、大丈夫だろうか?。
しばらくすると、試験問題も配られ、会場全体が沈黙に包まれます。
簿記論
「始めてください」の合図で、問題をめくる。
まずは全体を一通り確認。
個別問題は、商品売買取引、税効果会計、リース取引、ソフトウェア、資産除去債務。
……嫌な顔ぶれが揃っていました。
最初から順番に解いていきます。
- 商品売買取引:総記法が分からず白紙。3分法と売上原価対立法はなんとか
- 税効果会計:半分しか分からない
- リース取引:通常の仕訳は分かるが、セール・アンド・リースバックは覚えておらず白紙
- ソフトウェア/資産除去債務:分かるところだけ書いて、あとは“それっぽく”埋める
苦手論点が多すぎて、手が止まる。
個別問題のできなさに焦っているうちに、時間が半分過ぎていたので、総合問題に取りかかります。
預金はできる。
でも売掛金以降が怪しい。社債は外貨絡みで時間が溶ける。
総合問題で挽回するつもりでしたが、時間に追われると、総合問題も想像以上に進まない。
結局、答案用紙の半分も埋められないまま終了。
終わった瞬間、絶望しかありませんでした。
答案用紙が回収され、枚数確認の後、退出します。
廊下には、大勢の財表受験生が理論テキストを読みながら待っていました。
財表の試験まで1時間ちょっとあるので、おにぎりを食べて、理論テキストを開く。
でも、簿記論の失敗が頭から離れず、上の空です。
簿記論とは別の教室での受験のため、早めに教室を移動し、待機。
着席時刻になると、先ほどと同様に、試験監督からの説明があり、答案用紙・試験問題が配られました。
財務諸表論
理論は、第一問が包括利益中心の問題、第二問が外貨換算基準でした。
第一問はAランクのためほぼ解答できました。
第二問の外貨はCランクのため穴埋めと記号は解答できましたが、文章は書けず。
「作文で何とかしよう」
そう思っても、ペンが動かない。言葉が出てこない。
全く思い浮かばないので、計算に取り掛かることにしました。
計算は、製造業でした。
製造原価や自己株式が難しかったですが、全体的にボリュームが多くなく、難易度も答練と大差ありません。
最後まで解き終わる前に時間が来てしまいましたが、いつも通りできたので、7割~8割の手応えがありました。
理論の第二問がほぼできなかったことが、悔やまれます。
財表の試験が終わると、すぐに消費税の試験の時間になります。
この年は捨て科目。でも、来年のために受験だけはします。
消費税法
理論は、
問1 相続があった場合の納税義務の免除の特例と役務提供の内外判定について
→納税義務者の原則だけ覚えていたので書きました。
問2 取引区分の事例問題
→取引に〇しただけ。
計算は、合併が絡んだよく分からない問題。分かるところだけ、それっぽく書く。
暇を持て余しましたが、良い記念受験になりました。
あとがき
初めての税理士試験は、想像していたよりずっと“現場”でした。
机の狭さ、会場の空気、周囲の視線、時間の進み方。
そして何より、答案用紙を前にしたときの、自分の実力の正体。
簿記論の出来が悪かった瞬間、心が折れかけました。
あの「半分も埋められない」という感覚は、今でも鮮明です。
一方で、財表の計算は“いつも通り”ができた。
つまり、ちゃんと積み上げた部分は、試験でも裏切らない。
逆に、逃げてきた部分――理論や苦手論点――は、容赦なく蹂躙される。
この年の私は、合格を取りに行く準備が足りませんでした。
でも、受けたからこそ分かったことがあります。
- 勉強は「やった量」だけではなく、「当日出せる形」になっているか
- 苦手から逃げるほど、当日そこが出る(ように感じる)
- 会場に座った瞬間、言い訳は全部消える
この初受験は、結果以上に、次に向けた材料を山ほど残しました。
悔しさも、反省も、怖さも。
全部が、「次はこうする」という具体策に変わっていった。
次回は、自己採点と合格発表、そして次の年へどう繋げたか。
そして、どう立て直したかを綴っています。


